モヘアとウールの違い
ウールは羊から刈られる毛、モヘヤはアンゴラヤギから刈られる毛。
モヘヤ繊維は特別な加工をしなくても、縮みやフェルト化、ウールにありがちなチクチク感がありません。
同じ獣毛ですが、その特性にはかなり違う部分があるのです。
なぜ、チクチクしないの?
繊維の断面(キューティクル)
- 左のモヘヤ繊維 – キューティクルは繊維に対して限りなく平らで、角もなく滑らか。
- 右のウール繊維 – キューティクルが高く浮き上がり、角が鋭角。
この鋭角に浮き上がるキューティクルが、皮膚に当たるのがチクチクの原因 。
キューティクルの形状の異なるモヘアは、肌触りが滑らかでチクチクしないのです。
モヘアは通常約50以上のグレードに分けられて取引されている繊維。
最近よく聞く「スーパーキッドモヘア」は、その中では最高級とされるグレード。これは、最高級ブランドが取り扱うスーツ用だったり、最高級のニット(上半身にまとう)用。
サーモヘアソックス用のモヘヤ繊維は、最高グレードのキッドモヘアではありませんが、一般的な2000円台のモヘヤソックスより、グレードの高いキッドモヘアを使用しています。
なぜ、縮まないの?
ウール繊維の浮き上がったキューティクルが、濡れたり擦れたりしたときに引っかかり、繊維同士が絡み合い固まってしまうのが、縮んだりフェルト状になる原因。
滑らかなモヘア繊維は、キューティクル同士が引っかかることがないので、縮んだりフェルト状になる事がないのです。
モヘアは毛玉にならないの ?
モヘヤはウールに比べて、繊維同士が絡む毛玉は出来にくいのですが、、、
新品のモヘヤニット製品(セーター、ソックスetc.)は洗濯するたびにしばらく毛(繊維)が抜けます。。。。
この毛は、製品製造工程で切れたモヘヤ繊維です。この、切れた繊維は、糸に絡んだまま製品になり、使用時の摩擦で抜けてくるのです。
ウールなどのように絡みやすい毛では、この遊び毛は絡んだままになるのですが、モヘヤはその滑らかさゆえに擦れたり使用しているうちに生産工程で切れた繊維が抜けてきます。
特にソックス(足裏)は、セーターなどに比べると、とても負荷が大きく摩擦が起きる場所ですので、この切れた繊維が
抜ける → 摩擦
を繰り返すことによって、大きな毛玉が出来ている場合があります。
- ウールの毛玉 = 糸に繋がった毛が絡む。取る事で編地が痩せてしまう。
- モヘヤの毛玉 = すでに切れた毛が抜けてまとまる。取っても何の影響もない。
するっと取れるモヘヤの毛玉。気にせず取って下さいね。