カナダでキッドモヘアの靴下を作っている会社「Thermohair Inc.」
創始者テリッサ・ベジュロンの想いと歴史を紹介させて頂きます。

1980年代~ アンゴラ山羊農家からの出発

始まりは1983年2月、
創始者テリッサ・ベジュロンは、希少で特殊な種類のアンゴラ山羊を4頭購入し、カナダのサウスマウンテン村でアンゴラ山羊農家として歩み出しました。

テリッサはアンゴラ山羊を育て、モヘヤの原毛を地元紡績工場に販売したり、繁殖用のヤギを国内外に販売。
繁殖用のヤギのコンテストでも金賞を取るくらい、よいオス山羊を作出する腕の良い牧場主でした。

しかし、モヘア繊維の需要はファッショントレンドなどに左右され、事業運営は楽ではありません。

そんな中、テリッサは
アンゴラヤギの子ヤギの毛「キッドモヘア」の、丈夫さ、温かさ、柔らかさは、冬の冷たい足にぴったりだと気付きました。

そして、ファッショントレンドなどに左右されない、シンプルで最良の靴下を作りたいと思うようになったのです。

1990年代~ チャレンジの始まり

テリッサのキッドモヘアと靴下へ強い想い。そして、彼女のチャレンジが始まりました。

でも、今まで誰も作った事の無い、あまりに特別な靴下。
簡単に作れるはずもありません。

アンゴラ山羊たちの飼育を続けながら、フロントランナーとして沢山の壁を越えてゆく事になります。

1st Mission 紡績 (原毛からモヘア毛糸へ)

靴下にするには、まずキッドモヘアを毛糸(撚糸)しなければなりません。

当時、靴下は、綿か合繊せいぜいウール。

高価なキッドモヘアは、衣料用や高価な内装に使う特別な素材でしたから、靴下用に紡いだ事のある紡績工場などありません。

どう紡いだら靴下に合うキッドモヘア毛糸になる?
試行錯誤を繰り返すかありまぜん。。。

幸運にもテリッサの想いと熱意が、カナダ・トロントの大きな紡績工場の社長に伝わり、彼の援助と協力を得て靴下用のモヘア毛糸(撚糸)を紡ぐことに成功しました。

当時彼が言った言葉です。

「テリッサ、君はなぜこのように美しい毛を足だけに使うのか?」

こうして初めての靴下用モヘア毛糸が完成しました。

2nd Mission 靴下の誕生

当時、靴下は価な消耗品で「すぐに破けてが当たり前」と考えられていて、いかに早く、安く、大量生産できるかが重要視されていました。

ところが、キッドモヘアは高級な天然素材。
この特別な毛は、素材感を見せるために高価な衣類に使用するもので「靴下などに使うものではない」というのが常識。

その上、モヘアは綿や化学繊維とは全く異質な素材。
とても丈夫で長持ちする製品になります。

今まで通りでは手に負えず、幾つもの工場から生産を断られましたが、1人の職人がこの靴下の素晴らしさを認め、従来の靴下編機を改造して難しい素材であるモヘアを扱えるようにしました。

可能性を信じ、手間を惜しまない人がいた事で、素晴らしい品質の靴下が誕生したのです。

3rd Mission 夢を広げる販売

カナダの田舎町の小さな小さなブランドとして始まったThermohair。

作り上げた最高の靴下を、より多くの人に届けたくて、置いてくれる店を探しますが。。。

彼女が販売を始めたのは、北米では大量生産大量消費を最良とした時代。

中でも、靴下は、安くすぐに消耗する商品と考えられていて、高価で長持ちする靴下を取り扱ってくれる店など見つかりません。

でも、自分たちの靴下に信念と自信をもっていたメリッサは諦めず、ネットやバザーなど個人客を中心に顧客を増やしていきます。

そうして、愛用してくれるお客様、理解し扱ってくれるお店が少しずつ増え、カナダで多くの人に愛されるブランドに育ちました。

2000年代~ 世界で愛される靴下に

少しづつ、少しづつ、歩みを進め
いつしか ThermohairSocks は、
登山家や著名人などにも愛用され、世界中で「知る人ぞ知る」そんなブランドに育っていきました。

世界へ~生産の拡大

多くの人に届けるためには、それに見合う生産体制が必要です。

生産を始めた時から、何軒もの工場に生産を依頼してきました。

靴下業界は、今でも、その殆どが大量生産、薄利多売。

編むのが難しく効率の悪いこの靴下に、多くの工場が
「サーモヘアのソックスをこれ以上作っていくことはできない・・・」
と撤退していきました。

それでも、この靴下の素晴らしさに共感し、共に努力を惜しまない数少ないカナダの工場が生産を続けてくれています。

更に、製品の安定供給を考え、製品の一部を南アフリカで [原毛~撚糸~編み~仕上げ] まで一貫した生産を始めています。

変わらぬ想いで

「最高の素晴らしい靴下を作る」

1992年の創業から変わらない想い抱いて、
Thermohair Inc.は進み続けています。

Staffの高齢化、原料の高騰、工場の閉鎖や撤退、仕入れ先の変化、自然災害などの様々なトラブル。。。

でも、そんな中でも
この靴下を愛してくれる人
協力して支えてくれる人たち
素晴らしい生産者たち
新たなビジネスパートナー

多くの人や出会い、そして何よりお客様に支えられて、壁を越えてきたThermohairSocks。

これからも、この素晴らしい靴下と最高のぬくもりを届け続けてくれるでしょう。